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2月 4, 2021の投稿を表示しています

Vol.23「約束の地」

 Vol.23「約束の地」 フロリダ州はアメリカでも有数の観光地で、白い砂浜が続くリゾートビーチや、ユニバーサルスタジオ、ディズニーワールドといった人気の観光スポットが数多くある。この地には沖縄在住の時にもお世話になった母の妹(僕の叔母さん)がアメリカ人の旦那さんと住んでおり、久しぶりの再会を果たすために訪れた。僕の叔母さんはマイアミから約40キロ離れたフォートロードデイルの基地に住んでいた。バスを降りると、夏の日差しが強烈で眩しかったが、優しい風が吹いていた。その風にあたっていると、初めての土地なのに何だか懐かしい気分になった。故郷の沖縄に似ていると思い、後で確認してみたら、立地が沖縄とほぼ同緯度ということだった。何か心がざわつき、僕はこの土地がきっと好きなるだろうと予感がした。 叔母の旦那さんは、沖縄で出会って結婚したアメリカ空軍のパイロットで、住まいも基地の中だった。基地内の住居は広々とした敷地で芝生の緑が優しく、揺れるブランコが基地の中だというのに安らぎを感じさせてくれて居心地が良かった。叔母の住む世界には、僕が思い描いたようなアメリカの生活が詰まっていた。テーブルや冷蔵庫が象徴する大型家具や家電品。生活必需品は全て大きく、間取りも充分だった。叔母の子どもたちが冷蔵庫から大きなプラスチックボトルの牛乳を両手で取り出すのを見ると、「豊かだなあ」と唸ってしまう。アメリカでは普通の牛乳を「Whole milk」と言い、量は様々だが、僕が見たのはなんと1ガロン(4リットル)サイズだ。4リットルの市販牛乳って見たこともなかった。子どもが多い家庭には置いているらしい。多分、僕が来たことでガロンサイズにしたのだろう。さらに驚いたのは、当時はまだそれなりに高かったビールが、水よりも安い飲み物として扱われていたことだった。とにかく叔母さん夫婦はビールを良く飲んでいた。仕事が終わると、旦那さんは同僚たちを連れてきて、庭でバーベキューをするのが常だった。分厚くビッグサイズのステーキにビールが山ほどもあった。それを眺めているだけで「マイク、もう心配することは何もない」と言われている気がした。庭の芝生に座り、沈みゆく夕日を眺めながら優しい風を受けていると、僕は終の住処となる理想の地へ来たのだと思えてならなかった。 日中は沖縄のように日差しが強く、暑くてとても外では遊べない。だから叔母